投資を始めるにあたって、まず迷うのが「どの証券会社を使うか」です。株式、FX、債券、投資信託など、あらゆる金融商品を幅広くカバーし、かつサービスレベルが高い「総合力」で選ぶのであればSBI証券と楽天証券です。どちらも魅力的なサービスを提供しており、手数料や取扱商品、ポイント還元などに違いがあります。本記事では、両社の特徴やメリット・デメリットをわかりやすく比較し、あなたに合った証券会社選びの参考になる情報を整理しました。
SBI証券:総合力と商品網羅性で業界トップを走る王道口座
SBI証券は、ネット証券業界で長年にわたり口座数、預かり資産額でトップを維持する「業界の盟主」的存在です。初めて投資をする方が、将来的にあらゆる金融商品に手を広げたくなっても、この口座一つで完結できる圧倒的な総合力が最大の魅力です。
1. 圧倒的な商品ラインナップと「何でもできる」総合力
SBI証券の最大の強みは、取り扱っている商品の幅広さと深さにあります。初めての投資を「株式」から「投資信託」、「FX」や「債券」へとステップアップさせたいと思ったとき、新しい証券会社に口座を開設する必要がないのが大きなメリットです。
1・国内株式・米国株式
国内株はすべての銘柄に対応しているのは当然として、特に近年人気が急上昇している米国株の取扱銘柄数も業界トップクラスです。成長著しい米国のハイテク企業から、安定した配当を出す成熟企業まで、幅広い選択肢から投資対象を選ぶことができます。さらに、単元未満株(S株)の取引にも対応しており、数十円から数百円といった超少額から大手企業の株を保有できるため、投資の練習に最適です。
2・投資信託とNISA
投資信託(投信)の取扱本数は約2,600本以上と業界屈指の多さです。特に積立投資で重要となるノーロード(購入時手数料無料)のインデックスファンドが充実しています。NISA(少額投資非課税制度)の「つみたて投資枠」「成長投資枠」にもフル対応しており、非課税で効率よく資産を増やすための環境が整っています。
3・FX・債券・金など
グループ会社の「SBI FXトレード」を利用すれば、わずか1通貨単位という極小リスクでFX取引を体験できます。また、外国債券や金・プラチナといった実物資産に近い商品も取引可能であり、資産の分散を考えるようになった中級者以降にも、高いレベルで応えることができます。
この網羅性があるため、「SBI証券に口座を開いておけば、将来的に投資したいものが変わっても困らない」という安心感は、初心者にとって非常に大きなメリットとなります。
2. 積立投資で差がつくポイント優遇と手数料優位性
長期的な資産形成において、コストとリターンは極めて重要です。SBI証券は、業界最低水準のコストを実現しつつ、独自のポイントプログラムで実質的なリターンを高める仕組みを提供しています。
1・手数料の「ゼロ革命」
SBI証券は、2023年10月から「ゼロ革命」を打ち出し、国内株式の売買手数料を完全に無料化しました(※約定代金100万円までの現物取引の場合)。これにより、頻繁に取引をするデイトレーダーはもちろん、初心者が少額で売買を繰り返しても、コストを一切気にせず投資の経験を積むことができます。
2・投信マイレージ(ポイントプログラム)
SBI証券の代名詞とも言えるのが、「投信マイレージ」です。これは、保有している投資信託の評価額に応じて、Vポイント(旧Tポイント)やPontaポイント、dポイントなどが毎月付与されるサービスです。これは、商品を保有しているだけで自動的にポイントがもらえる、実質的な「隠れた利回り」となります。長期で積立を続けるほど、このポイント付与の恩恵は大きくなります。
3・クレジットカード積立
三井住友カードを利用した投資信託の積立では、積立額に応じてVポイントが貯まります。毎月積み立てるだけでポイントが貯まるため、効率的な資産形成をサポートしてくれます。
手数料の安さとポイント優遇制度は、長期投資のリターンにじわじわと効いてくるため、最初の段階でこのメリットを享受できるのは大きなアドバンテージです。
3. 初心者から上級者まで満足させる高機能ツールと情報力
投資で成功するためには、正確な情報と、それを分析するための使いやすいツールが不可欠です。SBI証券は、膨大な情報量と洗練された取引ツールを提供しています。
1・高機能トレーディングツール「HYPER SBI 3」
PC向けの主力取引ツール「HYPER SBI 3」は、リアルタイムで更新される詳細な株価情報、プロ仕様のチャート分析機能、多様な注文方法などを備えています。初心者にとっては多機能すぎると感じるかもしれませんが、慣れるにつれて本格的な分析が可能になります。
2・投資情報メディアの充実
SBI証券のウェブサイトやツール内では、専門家によるマーケット分析レポート、企業IR情報、経済ニュースなどが豊富に提供されています。特に、個別銘柄のファンダメンタルズ分析に役立つ情報が多く、知識を深めながら投資したい方にとっては最適な環境です。
3・専用スマホアプリ
「SBI証券 株」アプリでは、外出先でも快適に国内株や米国株の取引、残高確認ができます。初心者でも直感的に操作できるデザインになっているため、手軽に市場をチェックする習慣をつけやすいでしょう。
SBI証券は、「まずはこの口座を開設しておけば間違いない」と言える、国内ネット証券のトップランナーです。
楽天証券:ポイント連携と利便性で投資を身近にするパートナー
楽天証券は、大手IT企業「楽天グループ」の強みを活かし、「楽天ポイント」との連携を最大の武器としています。日々の買い物で貯めたポイントを投資に回せる仕組みは、投資を始めることへのハードルを極端に下げ、「投資を身近なものにしたい」と考える初心者にとって、最高のパートナーとなります。
1. 楽天ポイントをフル活用!「投資の習慣化」を徹底サポート
楽天証券の最大の特徴は、楽天グループが持つ強力なポイント経済圏との連携です。ポイントを活用することで、現金を大きく使わずに投資をスタートでき、投資そのものが楽しい習慣になります。
1・ポイント投資
貯めた楽天ポイントを使って、投資信託や国内株式を購入することができます。「試しにポイントで少しだけ買ってみよう」という感覚で投資体験を始められるため、心理的な抵抗感がほとんどありません。これにより、「投資=難しくて怖い」というイメージを払拭できます。
2・楽天カードクレジット決済積立
投資信託の積立設定時、楽天カードで決済することで、積立額(最大月10万円)に応じて楽天ポイントが還元されます。これは、投資元本とは別にポイントがもらえるため、実質的な利回りが向上することになります。長期の積立投資をするなら、このメリットは無視できません。
3・楽天銀行との連携「マネーブリッジ」
楽天証券と楽天銀行の口座を連携させる「マネーブリッジ」を設定すると、銀行の普通預金金利が大手銀行よりも優遇されるというメリットがあります。また、株式の取引時に銀行口座から証券口座へ資金を移動させる手間も不要(自動入出金)になり、利便性が大幅に向上します。
日々の生活で楽天グループのサービスを利用している方にとっては、現金を意識せず、スムーズに資産形成を始められる点が、楽天証券を選ぶ最大の理由となります。
2. 使いやすさと高機能性を両立した取引ツール
楽天証券は、初心者でも直感的に操作できる分かりやすいインターフェースと、プロレベルの分析が可能な高機能ツールの両方を提供しています。
1・マーケットスピード(PCツール)
楽天証券を代表する取引ツール「マーケットスピード」は、リアルタイムでの情報更新速度、分析チャートのカスタマイズ性、発注のスピードなど、非常に高い評価を得ています。多くの機能がありながら、画面構成が整理されているため、操作に迷いにくいのが特徴です。
2・iSPEED(スマホアプリ)
スマホアプリ「iSPEED」は、移動中や休憩時間でもサッと株価チェックや取引ができる、高い操作性を誇ります。プッシュ通知機能も充実しており、自分が保有する銘柄の急な値動きや、重要な市場ニュースをリアルタイムで受け取ることができ、取引チャンスを逃しにくい設計になっています。
3・初心者向け学習コンテンツ
楽天証券は、初めて投資をする方に向けて、「トウシル」などの情報メディアで豊富な学習コンテンツや動画を提供しています。口座開設後の学習サポートが手厚いため、「何から勉強すればいいか分からない」という不安を抱える初心者をしっかりナビゲートしてくれます。
ツールの使い勝手は、取引を継続する上でのモチベーションに直結します。楽天証券のツールは、日常的な操作のストレスを減らすことに重点を置いて設計されています。
3. FX取引の環境整備とNISA・投資信託の充実
楽天証券は、ポイント連携のイメージが先行しがちですが、FXや投資信託といった主要な商品ラインナップもSBI証券に引けを取りません。幅広いニーズに対応できる土台が確立されています。
1・FX取引(楽天FX)
楽天証券のFX取引は、主要通貨ペアのスプレッドが業界最狭水準であり、取引コストが非常に安いです。また、先述の「マーケットスピードFX」も提供しており、高機能なチャート分析環境でFX取引に挑むことができます。FXをメインにしたい方も十分に満足できる環境です。
2・投資信託の豊富さ
SBI証券と同様に、低コストで人気のあるインデックスファンドを幅広く取り扱っています。つみたてNISAの対象商品も網羅しており、特に投資初心者にとって、投資信託を使った長期積立投資を安心して任せられるラインナップです。
3・海外への投資
米国株取引はもちろん、一部の中国株なども取り扱っており、海外の成長市場へ投資したいという要望にも応えています。
総合的に見て、楽天証券は、「日々の生活動線に投資を組み込み、楽しみながら資産形成をしたい」と考える方に、最適な環境を提供する証券会社です。
まとめ:あなたに合うのはどちら?
【SBI証券が特におすすめな人】
- 「幅広い商品を一つの口座で管理したい」「多角的な資産運用を目指したい」
- Vポイント、Pontaポイントなどを貯めている、または重視している。
- 圧倒的な商品数と情報量の中で、じっくりと投資対象を選びたい。
【楽天証券が特におすすめな人】
- 楽天ポイントを積極的に活用しており、「ポイントで投資を始めたい」
- 楽天銀行や楽天カードなど、楽天グループのサービスを日常的に利用している。
- 直感的で分かりやすいツールで、ストレスなく投資の習慣を身につけたい。



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