私たちは、子どもの頃から「将来のために貯金しなさい」と教えられてきました。毎月コツコツと銀行口座にお金を積み上げているあなたは、本当に堅実で素晴らしいです。日本円の貯金は、いざという時のための「安心の土台」です。
ただ、この「安心」の裏側には、私たちが目をそらさずに知っておくべき「3つの隠れたリスク」が存在します。このリスクを知らないままでいると、知らず知らずのうちに、あなたが築き上げてきた貯金の「実質的な価値」が失われてしまう可能性があるのです。
この記事では、あなたの資産を守り、未来を豊かにするために、円貯金だけに頼ることの危険性を、分かりやすく解説していきます。
1. リスクその1:物価上昇(インフレ)によって「貯金の実質的な価値」が目減りする
貯金だけが持つ最大のリスクは「インフレ(インフレーション=物価上昇)」です。
最近、日々の買い物やサービスを利用する中で、「以前より値段が上がったな」と感じることが増えていませんか? これこそがインフレです。
インフレとは、世の中のモノやサービスの値段が上がっていくことを言います。裏を返せば、「お金」の価値が下がっていくということです。
銀行口座の残高は増えない
銀行の普通預金金利が非常に低い今、あなたの100万円は、1年後も銀行口座ではほぼ100万円のままです。しかし、もし世の中のモノの値段が毎年2%ずつ上がっていったとしたら、どうなるでしょうか?
昨年100万円で買えたものが、今年は102万円出さないと買えなくなるという状況が生まれます。
あなたの銀行口座の残高は100万円で変わりませんが、そのお金で買えるモノの量は確実に減ってしまいました。これが、貯金自体は減っていないのに、「貯金の実質的な価値が目減りする」ということの意味です。
たとえば、毎年2%のインフレが続くと、20年後には、今の100万円の実質的な購買力は約67万円程度まで下がってしまうと試算できます。
日本の銀行に預けている現金は、残念ながらインフレの波から資産を守ってくれる機能はほとんどありません。だからこそ、現金の一部を、インフレに強い「資産」(投資)に変えていく必要があるのです。
2. リスクその2:超低金利の継続により「お金に働いてもらえない」状況が続く
二つ目のリスクは、日本が長期間続けている「超低金利政策」によるものです。
現在、多くの銀行の普通預金金利は、年0.001%程度という極めて低い水準です。
この金利で100万円を1年間預けた場合、利息として手元に残るのは、税引き後でほとんどゼロに等しい金額です。
これは、あなたが銀行にお金を預けている間、あなたの貴重なお金が、ほとんど何も生み出してくれていないことを意味します。せっかく貯めたお金が眠ったままになっている状態です。
「時間」という最大の武器を活かすために
投資の世界では、運用で得た利益を再び投資することで、雪だるま式にお金が増えていく「複利」の力が非常に重要になります。
しかし、超低金利の預金では、この複利の効果は全く期待できません。
将来に向けて資産を増やしていくためには、あなた自身が働くだけでなく、「お金にも働いてもらう」という考え方に切り替えることが非常に重要です。
特に、若いうちから資産形成を始めた方は、**複利が効き始めるまでの「時間」**という最大の武器を持っています。この貴重な時間を低金利の預金だけで過ごしてしまうと、そのアドバンテージを十分に活かせなくなってしまうのです。
3. リスクその3:「日本経済の動向」や「円安」の進行による資産の偏り
三つ目のリスクは、少し視点を変えた「国際的なリスク」です。
あなたの貯金がすべて「日本円」という単一の通貨で保有されているということは、あなたの資産の価値すべてが「日本経済の動向」に依存していることを意味します。
もし、今後、他の国々の経済成長に比べて日本経済の成長が相対的に鈍化し、国力が低下した場合、あなたの持っている日本円の価値も世界的に下がってしまう可能性があります。
円安というコスト
最近の報道でよく聞く「円安」も、無視できない大きなリスクです。
円安とは、海外の通貨(米ドルなど)と交換するときに、日本円の価値が安くなることです。
日本は食料品、エネルギー、原材料など、生活に必要な多くのものを海外から輸入に頼っています。円安が進むと、海外から物を買うためのコストが上がり、結果として国内の物価上昇(インフレ)を加速させます。
分散投資でリスクを軽減する
すべての資産を日本円だけで持っていると、この円安や日本経済の動向というリスクを直接的かつ全面的に受けてしまいます。
このリスクを回避するために最も有効な手段が「国際分散投資」です。
- 日本だけでなく、成長しているアメリカや世界各国の株式、債券などにも資産を振り分けること
- ドル建てなど、日本円以外の通貨でも資産を持つこと
これにより、仮に日本円が弱くなっても、海外資産がカバーしてくれるという、資産全体のリスクを軽減し、バランスを取ることができるのです。
まとめ:バランスの取れた資産形成を始めましょう!
皆さんがここまで読み進めてくださったのは、「今のままではいけないかもしれない」という前向きな気持ちがあるからです。
日本円の貯金は、日々の生活を守る守りの資産として絶対に必要です。ですが、貯金だけに頼るのは、未来の購買力を守るという観点から見ると、大きなリスクを伴います。
大切なのは、「貯金」と「投資」をバランス良く組み合わせること。
まずは、無理のない範囲で、低リスクから始められるNISA(少額投資非課税制度)などを活用し、あなたの貴重なお金に「働く機会」を与えてあげましょう。
知ることからすべては始まります。「未来の自分のために」最初の一歩を踏み出すことが、豊かな生活への一番の近道です。



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